リフロー炉の制御は、輻射加熱と対流加熱とに分けて行なう必要があります。
たとえば、その一例を示しますと

アルミ電解コンデンサは輻射加熱には純感でなかなか昇温せず、逆に対流加熱には敏感ですぐに昇温することが分かります。従いまして、他の部品と同じ温度で昇温するには、炉の輻射加熱強度/対流加熱強度の比率を制御することが必須であることを示しています。
特徴
- 本センサの感温部にはCA熱電対を使用していますので、従来の方法で計測でき、リフローチェッカーに接続できます。
- センサのサイズは65×68×14で厚みが14ミリと薄いことから、ほとんど全てのリフロー炉に使用可能です。
用途
- リフロー温度プロファイルの設定を適正にできる結果、過熱による劣化、たとえば、金属間化合物の成長・ICパッケージのクラック・BGAのポップコーン現象・その他部品の劣化を抑制できます。
- 輻射と対流のいずれの加熱をどの程度強めれば、あるいは弱めればよいかが、数値で的確に分かりますので、基板変更時の調節時間を短縮できます。
- 炉の進行方向はもちろん、炉の幅方向の加熱強度のバラツキも計測することができます。
- 両面リフロー時、上面はもちろん下面の加熱強度も計測できます。
- 炉の設計や評価が大変容易となります.ヒーター形状・位置、穴明き板、その他ヒーターW数やファン回転数の変化を、輻射強度または対流強度の数値として、計測・評価できます。

某社 リフロー装置X
設定 A 基板上面
プレヒートゾーンの輻射加熱強度が小さく、逆に対流加熱強度が過度に大であるため、アルミ電解コンデンサの温度がこのゾーンにおいて、リフロー温度近くまで上昇してしまったことが読み取れる。

某社 リフロー装置X
設定 A 基板下面
基板下面は輻射加熱強度が大で、逆に対流加熱強度は小さいことから、アルミ電解コンデンサの温度が、より適正となっている。
以下は「第9回回路実装学会」で発表した論文です。
リフローセンサの開発とその応用
安部可伸 安部実装技術研究所
1、要約
リフロー時、電子部品の温度上昇はリフロー炉の輻射加熱強度&対流加熱強度と電子部品の
輻射熱吸収率&対流熱吸収率で決定される。
そこで、リフロー炉の輻射加熱強度&対流加熱強度とを別々に計測できるセンサを開発し、
科学的なリフロー温度プロファイル制御を可能とした。
2、リフローはんだ付の加熱方法と特性
(1)輻射加熱法
輻射加熱による部品の温度上昇△T1Rは
△TIR=(k・s/c)(T4ヒーター−T4ワーク)
| k | : | 輻射加熱吸収率 |
| s | : | 輻射加熱受熱面積 |
| c | : | 部品の熱容量 |
| Tヒーター | : | ヒーター表面温度 |
| Tワーク | : | 電子部品表面温度 |
で表わせる。
このうちk・sは部品の輻射加熱吸収特性であり、cは部品の吸収熱分散特性と考えることができ、まとめると(k・s/c)は部品特有の特性であり、輻射加熱吸収分散特性と考えることができる。
又、(T4ヒーターT4ワーク)は4乗があることから、T4ワークはT4ヒーターに比較するとごく小さく、近似的にT4ヒーターT4ワーク≒
T4ヒーターとも表わせる。
従ってTヒーターは炉の特性であることから、T4
ヒーター−T4ワークは炉特有の特性であつ輻村加熱強度特性と考えることができる。
一方、対流加熱も同様に考えると、対流加熱
による部品の温度上昇△Tconは
△Tcon= (k・s/c)(Tガス−Tワーク)
| k | : | 対流加熱係数(主として風速の関数) |
| s | : | 部品の全表面積 |
| c | : | 部品の熱容量 |
| Tガス | : | ガス温度 |
| Tワーク | : | 部品温度 |
このうち、sは部品の対流加熱吸収特性、cは部品の吸収熱分散特性と考えることができ、
k及びTガスは炉特有の特性であり、対流加熱強度特性と考えることができる。(Tガス−Tワーク)は炉と部品の両方の特性である。
3、電子部品の伝熱特性
上記した通り、電子部品の温度上昇は概していえば炉の特性と電子部品の特性の積で示され
る。従って、リフロープロセスにおいて多種類の電子部品をほぼ同一の温度となる様に制御す
るには、炉の特性と電子部品の特性を把握する必要がある。
そこで、炉の特性である輻射加熱強度特性と対流加熱強度特性とを別々に計測できるセンサーを開発した(特許出願中)。更にこのセンサーを使
い、各種電子部品の輻射加熱吸収分散特性と対流加熱吸収分散特性を計測した。
その結果を図−1、図−2に示す。(カタログの図1、図2参照)
アルミ電解コンデンサーは輻射加熱に対しては純感である(輻射加熱吸収特性が小さい)がこ
れはアルミが輻射熱(赤外線)を反射するからである。逆にアルミ電解コンデンサーは対流加
熱に対しては、著しく敏感である(対流加熱吸収特性が大きい)が、これは、アルミの熱伝導
率が高いため、吸収された熱が瞬時に拡散され(Tガス−Tワーク)が大きくとれるためである。
4、好ましいリフロー温度設定方法
(1)輻射加熱による温度上昇
既に述べた通り輻射加熱による温度上昇△TIRは(電子部品固有の輻射加熱吸収分散特性)
と(炉の輻射加熱強度)との積で表わせる。
(2)対流加熱による温度上昇
対流加熱による温度上昇△Tconも図2より経験的に、(電子部品固有の対流加熱吸収分散
特性)と(炉の対流加熱強度)との積で表わせる。
(3)加算のルール
部品の温度上昇△Tはメカニズムの異なる2種類の伝熱方式によることから、
△T=△TIR+△Tcon
と加算のルールが成立すると考えられる。又、加熱強度についても全加熱強度Pは
P= PIR+Pcon
と加算のルールが成立すると考える。
(4)設定例
具体的に「直径3ミリのアルミ電解コンデンサが他の部品と同−の昇温カーブをえがく様に加熱するにはどうすればよいか」を検討すると、加熱開始20秒後の直径3ミリアルミ電解コンデンサの上昇温度△Tアルコンは
△Tアルコン=△TIR+△Tcon
=0.13・PIR+1・(1−PIR)
一方、他の電子部品として、チップ抵抗5025を考えると、チップ抵抗5025の上昇温度△Tチップも同様にして、
△Tチップ=0.4・PIR+0.84・(1−PIR)
△Tアルコン=△Tチップを解くと、PIR=0.37となる。同様にSOP24ピンの場合はPIR=0.6となった。計測データはまだ十分ではなく、今後さらにデータを十分に積み重ねる必要があるが、今回の計測の結果では、プリヒートゾーン及びリフローゾーンの立ち上がりにおいて、炉の輻射加熱強度と対流加熱強度との比率を0.37:0.63とすればよいとの結果が得られた。SOP24ピンの場合、輻射加熱強度をより強くする必要があるとの結果が得られた。
6、まとめ
ピリヒートゾーンおよびリフローゾーンの立ち上がり時には、各種電子部品を均一に温度上
昇させ、かつ急加熱する必要があることから、輻射加熱と対流加熱とを併用するのがよく、そ
の割合は今回測定した範囲では輻射比率を最低でも約40%程度とするのがよいことが分かっ
た。今後、多くの部品を使い計測し、より最適の比率と強度とを明らかにしていきたい。
本センサを使うことにより、炉の特性を、輻射と対流とに分けて、場合によってはさらに基
板上面と下面とに分けて、客観的に短時間で把握でき、基板変更時の調整をより的確に行なえ
ることから調整時間の短縮にも役立つ。
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